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ミャンマー ハーブ農家のストーリー

ミャンマー ハーブ農家のストーリー

〜不安から解放され、家族に笑顔が戻ったハーブ栽培〜

Wellfirmが取り扱うハーブティーは、開発会社により2015年、ミャンマーの農家さんの生活を支えるために生まれたものです。

ここでは、実際に農家さんがどんな風に栽培し、どんな生活をされているのか。

開発会社から教えてもらった、ハーブティーの背景にあるストーリーをお伝えします。

開発会社のハーブ農園があるリンレイ村では、昔から「タナぺ」と呼ばれる葉巻タバコの栽培をされていました。リンレイ村は標高が高く、山間のため十分な水もありません。ですから、タナぺくらいしか育てられるものがなかったのです。

ですが当時、タナぺ栽培は厳しい状況にありました。

葉の乾燥のためには薪を使って火を起こす必要があるのですが、タナペ栽培のために長年森林伐採を続けた結果、採れなくなってしまっていたのです。

そして、薪の購入コストがかかるように…。さらに、虫がつかないように使わなければならない農薬の値段も、毎年値上がりを続けていたのです。

こうしてどんどん栽培コストは上がる一方で、タナペが売れる値段は、毎年変動します。赤字になってしまう年もあったそうですが、ほかに売れる作物などなく、結局、仲買人(ブローカー)に借金をしながらタナぺ栽培を続けるか、よそへ出稼ぎにいくしか選択肢がなかったのです。

そんな栽培をくり返していたため、借金の額は膨れ上がっていくばかり…。リンレイ村の方々は、「いつかこの村で暮らせなくなるのでは」という不安を抱えておられました。

そんな時に出会ったのが、日本から訪れた開発会社のスタッフです。

村の人々にこれまでハーブ栽培をされた経験はなく、挑戦するにはかなり勇気が必要だったそうです。しかし、このままタナぺ栽培を続けても、借金を返せないばかりか、いつか土地を売って返済に充てるしか手段がなくなるのは、目に見えていました。

そうなるくらいなら…と思い切ってハーブ栽培に切り替えることに決められたのです。

開発会社からは、「化学肥料や農薬を一切使わないで栽培して欲しい」と依頼され、最初は不安だったそうです。ですが、開発会社に有機肥料の作り方から教わり、その手法で栽培していくと、どんどん畑が元気になるのがわかったのだとか。そして村の方々も、

だんだんワクワクして来られたのだとか。

そうして今年で、ハーブ栽培をはじめて5年。村の人達は、今では借金をすることなく、生活ができるようになっています。ケシ畑に出稼ぎに行っていた家族も村に帰ってくることができましたし、子どもたちは学校に通えるようになりました。

なにより、この栽培をしていけば家族とずっと村で暮らせる。「もう不安に思わなくてもいいんだ」という安心が感じられ、家族に笑顔が戻ったと聞いています。

私達Wellfirmも、これからも家族が笑顔で過ごし、子供たちが良い教育をうけられるように、お手伝いができたらと考えています。

新しい運命の相手との出会い

新しい運命の相手との出会い

開発会社がミャンマーでハーブ栽培をスタートしてから、今年で5年目。

今、新たな挑戦が始まっているそうです。それは、リンレイ村を飛び出すこと。他の地域の農家さんとのお付き合いも模索しはじめたのです。

そうして出会ったのは、地平線が見渡せるアウンター村。標高が高くて涼しい、山岳地帯のリンレイ村とは真逆の、暑い地域です。

実は、この気候の違いこそがアウンター村が選ばれた一つ目の理由だったそう。リンレイ村ではどんなに頑張っても育たないハーブを、気温が高く、水が豊富な村で育てたかったそうです。

でも、もっと大きな理由は、アウンター村の人たちが素敵すぎたから。

気候が似た村は周囲にもいっぱいあったそうですが、彼らと一緒なら絶対に成功する!という確信が得られたそうです。

ここで少し、開発会社が農家さんと一緒に仕事をする時の様子をご紹介させてください。

開発会社はその村の生活状況について、かなり詳細に聞き込みをされます。

「家族は何人ですか?農業はしていますか?」からはじまって、「お米はどれくらい食べますか?油は?野菜は?タバコ吸ってる?」などと細かくなり、最終的には、「もしよければ、借金はあるか、どれくらいか教えてくれますか?」というところまで、本当に根掘り葉掘り聞くそうです。

かなりぶしつけに感じられるかもしれませんが、農家さんの生活や村の状況を正しく把握するには、必須の作業です。この作業をすると、村の中でどんなパターンの家族が困っているのか、その原因はなんなのかが、ものすごくクリアに分かるといいます。

しかしこの時点で、農家さん達には、日本からかなり変なヤツがやってきたと思われます。なので、まずは村長さんを味方につけるのがカギだったとか。

村長さんに、農家さんの生活を安心できるものに変えたくて事業をしていること。そして、リンレイ村でどんな風に活動してきたかということ。さらに、誰にも負けない品質のハーブを一緒につくりたいこと。そうして、世界中の農家さんから不安を取り除き、幸せでサステイナブルな農業をするのが夢なこと。

ひたすら、そんな話を繰り広げられたのだとか。そうしているうちに、村長さんが気づいたらしいんです。「こいつら、夢はデカいが、大してデカい会社じゃないぞ」と…。

そこで彼から放たれたのが、衝撃の一言でした。「俺より生活に困っているやついるからさ。そいつらを先に入れてやってよ。」

たしかに開発会社の規模は、大企業とまではいきません。だからこそ、村の中でも生活が厳しい順に仲間にしてきました。でも、調査に延々と付き合ってくれて、栽培が始まったら、農家さんをまとめてくれる村長さんは特例でいい、と考えられていたそうです。

それにそもそも、村のことにたくさんの時間を割いている彼の生活は決して、余裕があるようには見えませんでした。

しかし、この言葉です。スタッフは村長さんの人としての器の大きさに感謝、感動したのと同時に、彼に遠慮させてしまった自分たちのちっぽけさが悔しくなったそうです。

と同時に、「この村は絶対に成功する」と確信した瞬間でもありました。

相手に心を配る、誇り高いリーダーの姿は、信頼関係をベースに契約栽培をする、まさに開発会社の目指すところだったからです。

そんな彼が率いてきた村の人たちは、「早く栽培をはじめよう!」と開発会社をせっつきすぎて、スタッフが困るほど(笑)。農家さん同士でアドバイスをしあい、はじめてのハーブの栽培は早くも軌道にのりはじめているそうです。

アウンター村での初めての収穫は、来年2月頃の予定だそう。きっと最高の品質になるであろうフェンネル・フェヌグリークを、みなさまにお届ける日が楽しみで仕方ありません。

72家族の農家さんの暮らしを支える

72家族の農家さんの暮らしを支える

今のお話はあくまで一例ですが、ミャンマーでは現在、合計72家族の農家がハーブ栽培により生計を立てられています。

お話の中にもあったように、ハーブ栽培を始める前の農家さんたちは、不安定な市場や不公正な取引に依存しており、借金をしながら農業を続けてきていました。

そのため、借金がかさみ土地を売るしかなくなったり、仕方なく出稼ぎに行くことにといったリスクと常に隣り合わせだったのです。

ハーブ栽培をはじめてからは、それぞれに収入が安定し、実際、2017年からの3年間で利益は1.7倍に上昇しています。その結果として農家さん達は、子どもを学校に通わせ、必要な時には病院にもかかれる暮らしを実現されました。

また、このコロナ禍において市場が崩壊し、無収入となる農家も多い中、安定した暮らしを守ることができています。

ミャンマー ハーブ農家との信頼関係

ミャンマー ハーブ農家との信頼関係

農薬、化学肥料不使用のハーブティを安定的に供給いただくのは、非常に難しいことです。開発会社とミャンマーの農家さんとの間に強い信頼関係がないと、まずなりたちません。

ここからは、この信頼関係について開発会社から伺った、2つのエピソードをご紹介します。

ヒーローにはなれない

ヒーローにはなれない

開発会社がミャンマー
リンレイ村の超小規模農家さんと無農薬でハーブを育て始めてから、今年で5年になります。一緒に頑張ってくれる農家さんは、開発会社にとって家族のような存在。厚い信頼関係で結ばれています。

でも、そこにたどり着くまでには長い時間が必要だったそうです。

リンレイ村は標高が1,500m近くあり、電気や水、ガスも通っていない、山間の村です。用水路やため池も当然なく、農業はすべて雨季の雨頼み。十分な農業用水が得られず、農家さんたちは「タナペ」という葉巻たばこの原料栽培に依存した生活を送っていました。

農家さんたちの命綱であったタナペ。でも、実態はひどいものでした。

数十年にわたって栽培した結果、乾燥につかうための薪を切りすぎて森林を破壊。殺虫剤と化学肥料は、年々強いものを使用しないと効果が得られなくなっていました。

どんどん上昇する栽培コストに、安定しない市場価格。栽培してもコスト分さえ回収できない、赤字の年が増えていたのです。

「タナペはやめたい。でも、ほかに栽培できる作物を知らない」

希望が見えず、農家さんはみんな暗い表情をしていました。

そこに現れたのが、開発会社です。

リンレイ村の気候でも栽培のできるハーブを無農薬で農家さんに育ててもらい、高価格で買い取ることを保証しました。

最初は戸惑った農家さんたちも、栽培方法をつきっきりで伝え、約束通りに買い取ってくれる開発会社を、徐々に信頼してくれるようになっていったのです

当時の開発会社は、リンレイ村の人達にとってまさにヒーローのような存在でした。そして彼ら自身も、「農家さんにとっての救世主・ヒーローのような存在」になくてはならないと思い込んでいたそうです。

ですが、ヒーローにはなれなかった。

正確には、ヒーローであり続けることはできませんでした。

品質に基準もなく、だれでも参加してOK。

高く買い取ることに必死になった結果、徐々に開発会社は“農家さんにとって都合のいい会社”になっていったのです。

農家さんたちの中でも「高く買ってもらえて当然」という意識がいつの間にか生まれていたそうです。

しかし、その結果資金は尽き、存続の危機に陥ったのでした。

やっとヒーロースーツを脱ぎ捨てて、そこから始まった、ラストチャンスの1年。

信じてくれた農家さんのために、絶対につぶれるわけにはいかない。

農家さんたちと開発会社は一心同体なんだ、という当たり前のことにようやく気がついて、「お金がなく、このままだとつぶれる」という内情を、すべて農家さんに話して協力を仰ぎました。

あまりにもひどい会社の経営状況に農家さんも唖然とされたようです。ですが必死に頭を下げるスタッフを見て「高く買い取ってくれて当然」という農家さんの態度が変わり始めました。

そして現在の、お互いを支えあって生きていく、家族のような存在になれたのです。

どちらかが無理をして助けるんじゃなくて、お互いが持っているものを分け合って、補い合って生きていく。そんな関係に。

農家さんに任せる仕事もどんどん増えて、今年はついに、買い取り時の検品なども、農家さんのリーダーが担うようになりました。リーダーは10家族をひとチームとして束ね、栽培や品質管理・買取のタイミング決めなど、今までスタッフが担っていた重要な仕事を行なっているそうです。

それどころか、新しい村での栽培の技術指導に同行したり、そこの村長さんに説明するのについてきてくれたりと、活躍の幅がどんどん広がる農家さんたち。

きっとこれは、開発会社が農家さんを守るヒーローであろうとしていた時には見られなかった景色です。一緒に笑って、泣いて、時に家族のようにケンカもして…。

開発はこれからも、農家さんの家族として生きていくと決めておられます。

ジンジャーの買取価格が異例の高騰

ジンジャーの買取価格が異例の高騰

それは、2019年の末のこと。ミャンマーの代表を務める方から、開発会社に電話がかかってきたそうです。その内容は、「ジンジャーがミャンマーで非常に高く売れている」というもの。

そう聞いただけでは、農家さんにとっては良いことなのでは…と思われるかも知れません。しかし開発会社にとっては、危機の幕開けだったのです。

そもそも、開発会社が農家さんに栽培してもらっているハーブは、専属契約のため日本へ輸出することが前提です。ミャンマー国内での需要はほとんどない品種が多かったため、これまでは、「農家さんは開発会社のために栽培し、開発会社に全て売る」というルールが崩れることはなかったそうです。

ところが、その時は話が違っていました。

アメリカの企業が安価なジンジャーを求めて、ミャンマー市場へ参入。大量に買い占めたために、市場でのジンジャーの値段が、これまで見たことがないレベルに値上がりし、開発会社の買取価格を大きく超えてしまったのです。

しかも、海外輸出向けに、まだ大量のジンジャーが必要になっているという状況。市場での価格が少々上がろうが、売れる量も少ないのだから関係ない…といった理論が全く通用しなくなっていたのです。

開発会社のスタッフはみな、「農家さん、私たちに売ってくれなくなるかも」と青ざめたのだとか。それもそのはず、契約栽培のハーブはすでに一定の量、お客様から注文をいただいた上で栽培を始めています。

「ミャンマーで高く売れるから、今回の栽培分は開発会社が買い取らない」というわけにはいかないのです。

Wellfirmもそのうちの1社ですが、毎年同じ値段、同じ品質を信じて、契約をしてくださっているお客様の信頼を開発会社が裏切るわけにはいきません。

でもその一方で、農家さんの気持ちも痛いほど分かってしまいます。開発会社の決めている買取価格は、農家さんの生活コストを基準に算出し、農家さんの日々の暮らしを支えられる額に設定されています。

しかし、超小規模な土地しかなく、ミャンマーの中でもより生活に困っている彼らの暮らしは、そう簡単には楽になりません。

もっとお金を稼ぎたい、もっと余裕のある暮らしがしたい、という気持ちはあって当然なのです。

来年も、再来年も、一緒に仕事を

来年も、再来年も、一緒に仕事を

開発会社は、不安な気持を抱えながら、農家さんの家を回ったそうです。

「今年、市場で高く売れるのは知っています。でも、私たちに約束通り売ってもらえますか…?」と。

すると農家さんは、みんなうなずいてくれたそうです。

「あぁ、約束してたからね」と。

開発会社のスタッフは、その言葉に非常に大きなショックを受けたそうです。感動して、うれしい反面、農家さんの信頼が重かったのです。

これは決して、「ミャンマーの人がみんな素朴でいい人だから、約束を守ってくれた」という美談ではありません。「来年も、再来年も、開発会社と一緒に仕事をしたい」という農家さんからの意思表示なのです。今年思いきり儲けることはできなくても、毎年必ず買い取りを続けてくれるだろう、という信頼の重みです。

開発会社は、これまで続けてきた買い取りによって、そこまで農家さんに信じてもらえる存在になっていました。それは、借金に追われて、今日明日の暮らしばかりを考えていた数年前の農家さんとは見られなかった景色です。

信頼は、これまで積み重ねた時間と実績が育ててくれていた。だから開発会社も、農家さんとの約束を、絶対に守らなければならない。

約束を守って、守られて、その安心の積み重ねが、信頼になったのですから。

そんな中やってきたのが、コロナ旋風です。当然、お客様からの注文は減り、開発会社はミャンマーに渡れなくなりました。現地メンバーと農家さんも、なかなか会えなくなったそうです。

でも、絶対に、全量買い取る。絶対に事業はつぶさない。

開発会社のメンバー全員その決意は固く、何とか存続する方法を探して走り回っておられます。

信頼は、これまで積み重ねてきた実績と、これからも約束を守り続けるという責任があってはじめて成り立つもの。私達Wellfirmも、その重さとありがたみをしっかり受け止めて、長く事業を続けていくことが、ミャンマーの農家さんへの一助になると信じています。