日本でも「ブルーベビー病」が…
実は「ブルーベビー病」の事例は、日本でも報告されています。1996年、まだ生後21日の乳児が、重度の窒息状態になってしまったのです。
この乳児には、自宅の井戸水を煮沸して粉ミルクを溶かし、飲ませていたそうです。そして、この酸欠状態を引き起こした原因は、ミルクを溶かすのに使っていた井戸水。水道法の基準値を上回る「硝酸態窒素」が、高い濃度で混入していたのです。
一般的に乳児に与える粉ミルクを溶く際、飲料水は消毒のために煮沸します。しかし、硝酸態窒素は揮発性がないため、かえって濃縮されてしまったそうです。
さらに、赤ちゃんは体重に対しての水分摂取量が成人の約3倍。胃液のpHが成人に比べて高いため、「メトヘモグロビン」をヘモグロビンに還元するための酵素もほとんどありません。加えて、乳児のヘモグロビンは「胎児性ヘモグロビン」といわれ、成人に比べ、非常に酸化されやすいという特徴も…。
つまり赤ちゃんは、「メトヘモグロビン血症」が起こりやすい体と言えるのかも知れません。
さらに、「亜硝酸態窒素」からは、「N-ニトロソ化合物」という発がん性物質が生成されることも知られています。
硝酸態窒素がバクテリアで「亜硝酸態窒素」に還元された後、体内でアミン(アンモニアに近い物質)などの有機物と反応して、「N-ニトロソ化合物」を生成してしまうのです。飲料水中の「硝酸態窒素」の高い地域では、胃ガンの発生率が高いという疫学的データも報告されています。